データベース

21世紀COEプログラムにおいて、非文字資料に関する9件のデータベースを構築し、学内外の研究者に向けて、ホームページから公開・発信してきた。これらのデータベースは、COEの5年間の成果として2007年度末の状態で、当分の間、21世紀COEホームページから従来どおり公開していく。非文字文字資料研究センターでの共同研究の成果として蓄積されるデータベースについては、本センターのホームページにおいて、逐次更新・公開していく方針である。

関東大震災・復興データベース

このデータベースでは、関東大震災後の東京市の復興事業で建設された復興小学校の位置を地図上(基図:昭和5~7年東京地形図)に表示し、あわせて、関連データ・写真などを閲覧できます。関東大震災により、当時、東京市に存在した小学校196校のうち117校が倒壊・焼失し、罹災児童数は14万5,962人にのぼり、2,552学級が罹災しました。東京市は、小学校復興費に4,105万6,000円をあて、1923(大正12)年度から1930(昭和5)年度までの7ヵ年におよぶ小学校の復興事業を開始しました。こうして完成した復興小学校は、先進的な設備、斬新なデザイン、都市計画的な観点に基づく建築計画など、高い理想に基づいて建設されており、現在に至るまで、教育行政および建築史的に高く評価されています。

「海外神社(跡地)に関するデータベース」増補改訂版

戦前の日本侵略時代に、アジア太平洋地域に多くの海外神社が創建された。これら海外神社は日本の敗戦とともに、当然のことながらその機能を停止した。敗戦後60年を経る中、海外神社の実態がいかなるものであったかの解明もないまま、永遠に消えさろうとしている。「神奈川大学 21世紀COEプログラム第3班課題3」が作成し、非文字資料研究センターが継承した『海外神社(跡地)に関するデータベース』はかつての海外神社の実態に迫るとともに、敗戦後60余年のあいだに、いかように変容したのかについての資料を収録したものである。今回の更新(増補改訂)にあたっては、『侵略神社』の著者辻子実氏より600点におよぶ貴重な資料の提供をうけた。提供資料にその後の収集資料をあわせデータベースの格段の充実を図った。

只見町インターネット・エコミュージアム 増補改訂版

只見町エコミュージアムは、只見町という一つの地域にある自然、環境、社会、歴史、文化、民俗など住民の生活に関わる情報を統合して発信することを目的として作成している。

現代のIT技術は、「博物館と図書館を統合することを可能とした」といわれるように、多種多様な情報がその情報の性格に応じて多様な形態によって記録され、発信されている現状—たとえば、自然や環境は写真、歴史や社会は文字・書籍、民具や考古遺物は史料館・博物館、芸能・民俗行事は写真や映像というように—を大きく変える可能性を持っている。それはまた、資料と研究成果とを結合することもできる手段を提供する。

地域における人々の生活は、研究対象として設定された事象のモザイクとしてあるのではなく、それらの事象が渾然一体となった一つの全体として営まれてきた。そのような人々の渾然一体となった生活の全体を、分解し、さらに総合するという段階を経て再構成し、発信することが本エコミュージアムのねらいである。そのねらいを達成するための作業が、地域に暮らす人々の自分の地域についての認識を深め、また、研究者に新しい問題を提起することになることを期待している。

現段階では、只見町がすでに収集整理し国指定の文化財となっている民具情報のデータベース化と民具に関する情報の統合にとどまっているが、今後、一層の拡大・充実を図るつもりである。

図像文献書誌情報データベース